日本の将棋に類する遊びは世界各国で行われているが、主もなものに中国象棋、朝鮮将棋があり、さらに将棋の発祥地であるインドからミャンマー、タイ、ベトナムに及ぶ東南アジア一帯でも行われている。また、ヨーロッパを中心に国際的な広がりをもっているチェス(西洋将棋)もその起源は将棋と同じである。
【将棋の歴史】
将棋は古代インドで遊ばれていた盤上ゲームから発展したもので、紀元前3世紀ころにインドで創造されたと推定される。日本へは東南アジア系の将棋が古い時代に伝来したと考えられる。
【現況】
将棋は日本独特の盤上ゲームとして発展し、1962年のテレビによる対局放映開始や、文部省が73年公立中学校で、翌74年公立高校のクラブ活動に将棋を認可したことなどにより、青少年層を含む愛好者がさらに増大した。統計上も1年に1回以上将棋・囲碁を楽しんだ人は1790万人(1981年版《国民生活白書》)で、ルールを知っているだけの初心者から有段者まで将棋愛好者は約1000万人と推定されている。
【用具】
長五角形の駒の形は日本独特のものである。駒に文字を記して識別するのは中国、朝鮮と日本だけであるが、金・銀・桂・香・玉は珍品佳宝をあらわす形容詞なので、本来の駒の名称は将・馬・車・兵であった。
1980年に山形県の城輪柵(きのわのさく)遺跡から出土し、鎌倉時代のものと推定されている〈兵〉と記した駒が、今のところ最古の駒であるが、すでに五角形の駒である。
駒の素材はツゲを最上級としツバキ,マキ,ヤナギこれに次ぐ。60年代以降はプラスチック製の駒が木製に代わって広く用いられている。山形県天童市が駒の産地として江戸時代末期より著名である。
駒の字はツゲを薄く彫って漆で文字を盛り上げた盛上駒を最上級の駒とし、字を彫った彫駒、書駒が次ぐ。